不妊治療を振り返って思うこと ~人工授精を経験して出産された方~(インタビューより)
医療職に就く30代女性Cさん。
Cさんは妊娠や出産に関わる女性に10年以上寄り添ってきた経験もあります。だからこそ、妊娠しないことで不安を抱えている人が多いことも実感としてあり、自らの妊娠については「不妊治療をしても出来ん人もいる。出来んかったら二人の生活を楽しめばいい」と思っていた節もありました。
そんなCさんは結婚後、一年ほどは携帯アプリなどを使用しながら自己流でタイミングを図っていたものの、妊娠には至らない日々が続いていました。
職場では若手が少ない職場環境の中で、先輩や上司に見守られていたCさん。「子どもは早く作った方が良いよ」「妊娠の希望があるなら、チャンスが多いうちに頑張ってみた方が良いよ!」と言われ、検査やタイミング法の治療を始めるように。
夫からは、
「治療に関して自分は協力するから、やりたいとこまでやってみよう」と、妊娠や出産に関して知識のあるCさんの意向に夫が沿うような形でスタート。
治療を始めたCさんは、それまで知っているようで知らなかった妊活の大変さを感じたと言います。
「やってみると本当に時間的にも経済的にも大変なことが分かった。あと、スケジュールや方法、薬のこと、診察時の痛みのこととか、小さいことでも自分には負担になることもあったし、夫にも分かって欲しいと思ったけど、それはなかなか言えなかったな」
「タイミングをとるのも、夫にどう伝えて良いのか、本当に分からなかった」と、その時の想いを語ってくれました。
Cさんが通院した病院ではタイミング法を5回しても妊娠しなければ、ステップアップしようという方針がありました。
そのため、半年後からは不妊専門の病院に通院し始め、人工授精に挑戦することに。
人工授精は、排卵の時期に合わせて予め採精した精液を子宮内に直接注入する方法です。その為、受診日の朝には夫に協力してもらわなければなりません。Cさん夫婦の関係は良好で、信頼関係も出来ており何事もオープンに話せるパートナーではありましたが、「お互いの性のことまで話すのは、やっぱり気恥ずかしいところはあった」と語るCさん。
不妊治療という選択肢を取らなければ話さなかった話題かもしれないけれど、それでもそんな過程も今思えば、夫婦間の“壁”みたいなものが本当になくなったし、より絆が強くなったと感じられるようになった大切な時間だったと言います。
職場では、多くの人に妊娠を気にかけられていたこともあり、Cさんの不妊治療のことも理解を示してくれたという。とはいっても、既に出ているシフトを代わってもらうことには気が引け、シフトに合わせた受診スケジュールで何とか頑張っていたのが現実だと言います。
妊活を始め、不妊治療に移行した時でも、Cさんは“妊娠しないこと”について意識して”悩まないように”していたと言います。
生活全てが妊活にならないようにこれまで通りの生活を心掛けたり、色んな情報を得たからと言って妊娠するわけでもないと思い、なるべくスマホで検索もしないようにしていたというCさん。
その後、Cさんは最後の人工授精になると考えていた4回目の治療で妊娠。
今は子育てに奮闘しています。
~今、不妊に悩んでいる方へ~
「治療を行う過程で、子どもが出来なかった周期でも味方になってくれ、一緒に落ち込んでくれるような、お互いの想いを話せる夫婦関係を作っていって欲しい。自分自身は授かったからこそ言えるのかもしれないけれど、治療をすると一喜一憂することもあると思う、でも子どもができなかったとしても悪いことではない。前向きに出来るだけ楽しんでやって欲しい!」
♢インタビューを終えて♢
Cさん、この度は貴重なお話を聞かせていただき、本当にありがとうございました。
不妊治療を始めた時に、職場の方が応援してくれたのは本当に素敵だなと思います。でもやはり治療のスケジュールと仕事の調整をするのは難しいものですよね。本当に、毎月大変だったと思います。
また、多くの女性に関わってきたCさんのお話には、私自身とても共感する部分が多くありました。
これからもぜひこの経験を生かして、頑張っていってくださいね!